結論
帰無仮説とは、「AとBに差がない」という仮説(仮定?)のことです。
はじめに
この記事では「帰無仮説」という概念について説明します。帰無仮説は大学統計の基本中の基本ですが、勉強会をやってみると、けっこう多くの人がつまずくポイントです。個人的には、この帰無仮説と確率分布が大学統計の最初の難関だと思っています。そこで、本記事では具体的な例え話を用いて、帰無仮説の考え方を直感的に理解してもらえるように説明をしてみたいと思います。
例題
たかしくんは、お祭りの屋台でくじを引くことにしました。くじにはあたりとはずれがあり、屋台のおじさんが言うには、あたりとはずれはちょうど半分ずつ入っているそうです。たかしくんがくじを10回引いてみたところ、全てはずれでした。さて、屋台のおじさんの言ったことは本当だったのでしょうか?
例題の解説
なんとなく「たぶん嘘だったんだろうなー」と思ったのではないでしょうか?だって、おっちゃんの言うとおり半分があたりだったら、10回引けば何回か当たりそうじゃないですか。それが全部外れたという時点で、かなりアヤシイ感じがしますね。
もう少し数学っぽい考え方をしてみましょう。あたりとはずれがちょうど半分ずつ入っていると仮定すると、10回連続ではずれを引く確率はいくらでしょうか?答えは
$$ (\frac{1}{2})^{10} $$
です。非常に低確率であることが分かってもらえると思います。
つまり、おっさんの話(あたりとはずれが半分ずつはいっている)が本当だとすると、たかしくんは1%にも満たないような超絶ハイパー不運を引いてしまったことになります。でも、そんな不運、そうそう起こるはずがありませんよね。なので、統計の世界ではこういうとき、「たぶん、オッサンの言ってることは嘘だったんだなー」と判断します。
結局「帰無仮説」is 何?
上記の例では、「おっさんの話は本当である(つまり、あたりの割合とはずれの割合は同じである)」という仮定をおいていますが、これこそが帰無仮説です。冒頭でも説明した通り、帰無仮説とは「AとBには差がない」という仮説です。統計の世界では、まず帰無仮説が正しいと仮定したうえで、「でもそれって無理があるよね」となったら、「じゃあ帰無仮説が間違っていた(AとBには差がある)んだね」と結論づけます。
まとめ
帰無仮説とは、「AとBに差がない」という仮説です。帰無仮説が正しいと仮定した場合に無理があると判断できる場合、「AとBは異なる」と結論づけることができます。